四十八手とは
「四十八手(しじゅうはって)」は、日本の伝統的な性交体位の種類を指す言葉で、江戸時代に成立したとされています。「手」は「技」や「方法」を意味し、四十八種類の性交の技法があったことからこの名がつけられました。
歴史的背景
四十八手の概念は、江戸時代の遊郭文化や春画(しゅんが)の発展とともに広まりました。特に、浮世絵師の喜多川歌麿や葛飾北斎らによる春画には、四十八手の体位が描かれることがありました。
また、性に関する知識や技法を記した指南書(春本)にも多く取り上げられ、当時の知識人や遊郭に関わる人々に親しまれていました。
四十八手の書物
いくつかの書物が四十八手について記録しています。代表的なものを紹介します。
- 『艶道通鑑(えんどうつうかん)』
- 江戸時代の性文化を記録した指南書。四十八手の説明や、情事に関する心得が記されている。
- 『歌満くら(うたまくら)』
- 江戸時代の春本(性に関する書物)の一つ。男女の交わりに関するさまざまな技法が紹介されている。
- 『四十八手秘伝書』
- 性に関する秘伝書で、四十八手の技法を詳しく解説。明治時代にも影響を与えた。
- 『好色一代男(こうしょくいちだいおとこ)』(井原西鶴)
- 直接四十八手に言及しているわけではないが、当時の性風俗や遊郭文化を知る上で貴重な文学作品。
四十八手の具体例
四十八手には、さまざまな体位が含まれており、それぞれに特徴的な名前がついています。例えば:
- 抱きしめ系:「桜吹雪」「鶴の舞」
- 背面系:「流れ星」「蛙の交わり」
- 変形系:「雲隠れ」「八重霞」
現代における影響
四十八手は現代においても性文化の一環として語られることがあり、特に春画や江戸文化の研究分野では注目されています。また、近年の日本のアダルトコンテンツや性的指南書の中で、伝統的な四十八手を現代風に解釈する試みも見られます。
まとめ
四十八手は江戸時代の遊郭文化の中で発展した性交の技法であり、春画や指南書を通じて広まりました。現代では歴史的・文化的な観点からも研究されており、性に関する伝統的な知識の一つとして語り継がれています。